それさえも…

短いです。



しばらく走ってクライムレスは足を止めた。
荒い呼吸を整える為に大きく息を吸い込んだ。
名簿番号は4番。
自分の前に出たのはえすことOVAと華南の三人だけ。
とりあえずある意味一番怖い華南と遭遇していない分大丈夫だろうと、地面に腰を下ろした。


(実は元運動部なんだよな…今は文芸のくせに…)


実際自分よりも筋力はあるし(体力測定の時に判明)
廃人女子内なら一番足も速いだろう(中学の体力テストの時にはAを取ったとか)
ある意味一番怖い。
というのも凪良のはてなのBR小説を見てしまっている所為か余計に怖い。
OVAを刀でばっさり。


To be, or not to be, that is the question.
―成すか、成さぬか、それが問題だ
―生きるか、死ぬか、それが問題だ


自分はあっさりぽに打たれて殺されてるし。
状況としては今と同じ。
これでささめ何かと遭遇すれば絶対に逃げ出す自信がある。
はぁ…とため息をついてナップサックを開けた。
それは異様に軽くてウージー9mmサブマシンガンでないことは確かだ。
っていうか銃器系統じゃないことが確か。


「ってちょっとおいっっっ!?」


開けて見えた物体に思わず突っ込む。
なんだ、これは。
受け狙い、というか俺の為に用意されたとしか思えない。
色々と大変なことになった黄色い帽子。
ただの帽子ではなく、耳のついたピカチュウ帽。
被れというのか?
俺に被れというのか?


「・・・・・・。」


やることもないので被ってみた。
ただのピカチュウ帽だ。
一瞬、中に何か仕込んであったり、とてつもなく丈夫だったりするのかと思ったが、そうではないらしい。
あの日と同じ感触。
懐かしい。
それがどこか憎らしい。
もれたのはため息でもなんでもなく、乾いた笑い声だけだった。