文芸

送る時間がないから一旦保存。
タイトルどうしよ…「ある晴れた終わりの日に」でいいかな。
(うわーい、前回そのままじゃん)


鬱蒼と木々が生い茂るくらい森の中。そこに彼女は居た。昼間だろいうのに張り巡らされた枝や葉の影響で辺りは日の光が全く入ってこず、薄暗い。それにも関らず彼女は森という場所には酷く不似合いな白いレースのあしらわれた日傘を差していた。


「久し振りね。グレイ・ロングスタイン伯爵、ご機嫌はいかがかしら。」


返事はない。しかし彼女はそれを気にしなかった。彼女の赤い瞳はじっと前だけを見つめていた。しばらく無言のまま前を見つめた後、ふと白い日傘を閉じた。もしかすると今まで日傘を持っていた事を忘れていたのかもしれない。彼女の腕の中にはいつの間にか彼女の目と同じ色をした真っ赤な薔薇の花束が存在していた。


「悪いけど…この花は貴方にあげるものじゃないの。その代わり貴方のくれたワンピースを着てきたわ。」


返事はない。ただ先程と同じように彼女がそれを気にした様子は全くなく、その場でくるりと体を一回転させた。白いワンピースの裾が翻り、その行為によって空気を含み軽く膨らむ。輝かしいばかりの金色の長い髪が彼女の首筋を撫でた。相手に自分の姿を見せた事に満足したのかルージュも何も塗られていないというのに血の様に真っ赤な形の良い唇を小さく歪め、艶めかしいばかりの笑みを浮かべた。


「この花はね、貴方の孫のシニア坊やにあげるの。もう坊やって年でも無いんだけどね。」


白が似合うと言ったのは貴方、赤が似合うと言ったのは彼。何かを思い出すかのように彼女はしみじみとそう呟いた。そして形の良い唇で言葉を紡ぎながらm目の前にある物に触れる。冷たい、と感じた。彼女の手の温度は他の人のそれよりも幾分も低かったが、それ以上に目の前のものの温度は低かった。生きていないのだから当たり前だ。形を保っているのは、幾ら血族の力が衰えたとはいえ彼女に長い間血を吸われ続けてきたから。彼女が感じた彼の肉体は生前の物よりも若く、そして瑞々しく思えた。


「何故貴方は私を置いて行ってしまったの。死ぬべきなのは私だというのに。私一人だけがこうやって生き続けて…また独りぼっちだわ。」


だから彼女は人間が嫌いだった。平気で嘘を吐き、何食わぬ顔で裏切る。生きる以外の理由で動物達や自分の同朋を殺し、自ら世界を壊そうとしている。愚かしい種族だと思った。しかしそれを知っているというのに人間を愛してしまった自分が一番愚かなのかもしれない。艶めかしい笑みを自嘲めいた笑みに変え、意味のない行為だと分かっていながら彼女は言葉を紡ぎ続けた。僅かな返事すらもそこにはなかった。しかしそれでも何かを話し続けずにはいられなかった。


「私、どうせならもっと早くに死にたかったの。どうせなら最後くらいは誰かに看取られたいじゃない。」


目を閉じれば彼の声が脳裏に響く。ベアトリーチェと自分を呼んでいるような気さえした。きっとグレイならこんな返事をするのだろうと、容易に想像がつく。彼と最後に言葉を交わしたのはもう何年も前のことだというのに彼女の体には彼の声が、体温が、存在の全てが染みついていた。しかし姿だけが思い出せずにいる。目を閉じて響くのはグレイの声、浮かぶのはシニアの姿。シニア・ロングスタイン子爵、と彼の名前を呼んで彼女は薔薇の花束をそっと地面へ置いた。


「愛せなくてごめんなさい。だけど愛してくれて有難う。」


グレイ同様、シニアから返事はなかった、しかし彼女はそれを気にしなかった。目の前のそれはやはり冷たく、しかし何所か心地よかった。その心地よさに再び目を閉じた。指でなぞれば分かる。そこに刻まれた二人の名前。グレイを埋めたのはシニアだったが、シニアを埋めたのはベアトリーチェだった。真っ赤に彩られた彼女の爪は土によって薄汚れ、白いワンピースの裾も僅かにであったが茶色の染みを作っていた。彼女は笑った。もう少し早く死ねたらこんな思いはしなかったのに、と。


「貴方がくれたあの赤いドレス、ちゃんと大切にしてあるから。今度来る時は貴方の為にそれを着て、グレイの為に庭の白い薔薇を持ってくるわ。」


言い終わるのが早いか、もしかすると言い終わる前から始まっていたのかもしれない。何かが崩れる音がした。さらさらと零れ落ちるような感覚。彼女は笑みを自分の出来る一番魅力的な笑みを作った。赤い唇が最後の言葉を紡ぎだそうと開かれた時、あの甘い声が出てくることはなく、白いワンピースと白い日傘だけが小さな石で出来た十字架の前に取り残された。


赤い薔薇は静かに砂になって消えた。




ひじょーによみにくいあとがき(わざとです)
とりあえずすみません。これだけでわかりますかね?ぜんさくをしらずともわかりますよね!?わかるようにかきましたがいろいろとしんぱいです。ぜんさくってなに?ってかたはめんばーのだれかにきいてみましょう。ちかてつでわたしがかきあげたいろいろないみでぎりぎりのさくひんのはなしがきけるとおもいます。
ほんとうはもっとかきたいえぴそーどがあったんですが、くどくなったのでやめました。ようじょうじんぶつがひとりだと、こういうかたりばっかりになってはなしのてんかいにいろいろとこまる。かくのらくだけど、なんてんもそのぶんおおすぎる。もんだいだ。だいさんしゃしてんからかけない。でもそれはわたしがぶんさいないからなんですよね。うふふ。でもこれでべあとりーちぇねたはつかいきった。じかいにむけてあたらしいねたをねらないと。(あっであいへんもあるね!あとおじいちゃんしぼうへんとか)
それではあるはれたうつくしきひになぜかいんふるえんざにかかってしまったかなんがおとどけしました。きほんてきにかなんさんはしめきりをやぶるのがだいきらいなひとです。いんふるえんざだというのにこんじょうだしてがんばりました。(したがきはおだいきいたぶんげいのしゅうかいのそのひにかきおわってたというおちがあったり)