死体とワルツⅠ

任務はフランスの大富豪の暗殺。
殺すのは大富豪だけで他は誰も殺すなと言われた。(皆殺しよりも誰も殺さないことの方が殺し屋として中途半端なキャメルや血の気の多い他のヴァリアーのメンバーにとっては一番難しい)キャメルはXANXUSの低い声にうっとりしながら、「はい、ボス!」と元気に返事をした。ボスと呼ばれてXANXUSは少しばかり複雑そうな表情を浮かべたが、それをキャメルは見逃さない。ただそんな複雑そうな表情にすら、うっとりとしてしまう。


「明日ベルと一緒にフランスへ飛べ」
「えっベルってベルフェゴール?」
「そいつ以外にベルが居んのか?」
「いや、居ないけどさ」


他は誰も殺してはいけないのだ。殺していいのはターゲットだけ。でもベルの事だから一緒にいけば問答無用で関係のない人までいっぱい殺そうとするだろう。XANXAUSの事が好きでたまらなかったキャラメルは部下を殺し(ベルフェゴールの部下はボスであるXANXAUの部下と同じである)いつも好き勝手に殺しをしてXANXAUSの言う事をきかないベルが嫌いで嫌いで堪らなかった。(そしてそれをXANXAUSは知っている)どうせならレヴィかマーモンが一緒なら良かったと思う。レヴィは絶対にXANXUSの言いつけを守るし、マーモンは死んだって命令以上の事なんてしない。理由がどうであれXANXUSに忠実な部下である。そんな二人がキャメルはとても好きだった。