発掘

いつかアップしよう



「へぇ…ここが骸の部屋か。何だかこざっぱりしてるね」
「物をごちゃごちゃと置くのは好きじゃありませんから」
「だろうね。犬の部屋とか凄いことになってそうだけど」
「実際に凄いですよ」
「んで、千種はこれ以上に物を置かないんだよ」
「というよりもベッドと机くらいしかありませんね」
「…よっ、予想以上です。さすが柿本千種」
「それよりも、お茶かなんか要りますか?」
「どーぞ、お構いなく」
「残念ですね。折角ロイエのチーズケーキがあるのに」
「えっマジ!?マジで!?ロイエってあの、有名なケーキ屋ロイエ!?」
「えぇ、そのロイエです」
「食べます!ぶっちゃけ食べさせてください」
「貴方の為に勝ったのですから、食べてもらわないとむしろ困りますね」
「でもロイエのチーズケーキって言ったらかなり人気で並んでも中々手に入らないんじゃ…」
「あぁ、千種に並ばせたので気にすることはありません」
(余計気にするってば!?)



「さっすがロイエのチーズケーキ、美味しかったー!」
「僕にしてみれば貴方の方が美味しいんですけどね」
「…何か言った?」
「いえ、何も」
「なら良いんだけど。」
「クフフ…貴方が気にすることじゃありません」
「いや、そういう笑い方する時って大抵変なこと考えてるよね?」
「おや、僕の事をよく分かってらっしゃる。嬉しいですよ、小夜」
「いやいや、ちゃっかりと話しずらすような発言しつつも、肯定しないで下さい」
「敬語の貴方ってのもそそりますよ」
「ごめん骸、私一生アンタに対して敬語使わないわ」
「クハハハ!素直じゃない人ですね。大丈夫です、ツンデレも大好物ですから」
「毎回思ってるんだけどそのキモイ笑い方、どうにかならない?」
「なりませんね」
「凄いムカツク、殴りたいなその顔」
「なら殴ってもらっても構いませんよ。むしろ、このロープとムチを使って…!」
「お前何!?四次元ポケット保持者!?どっからそんな物出してきたの」



「…何、この大量のSMグッズは」
「何時か貴方と一緒に使いたいと思って、千種に買いに行かせたんです」
「哀れ千種…」
「蝋燭も買ってこいって言ったんですが、普通の仏壇用の蝋燭を買ってきたんですよ。馬鹿ですよね」
「いや、哀れって言うのは千種が何か駄目だからとかそういう意味じゃないよ?」
「でも僕は別にSM用のやつじゃなくても、貴方がたらす蝋燭のロウなら耐えてみせますよ」
「待て、私がSか。攻めですか!?」
「本当は僕がSで行きたいのですが最近は中々Mも良いんですよね」
「骸…私骸のことがよく分からなくなってきたよ」
「君には僕のことをちゃんと理解して欲しいのに、それは悲しいですね」
「きっと犬らへんがしっかりと骸の性癖を理解してくれるよ」
「君だからこそ理解して欲しいのです」
「(キューン)(…!ちょっとトキメイたよ)(こいつ顔だけは良いからな)」
「今からでも良いから僕のことを理解してくれませんか?」
「骸…」



「私も出来ることなら骸のこと、理解したいよ(出来るかどうかは別として)」
「大丈夫です、君ならきっと僕のことを理解してくれます」
「頑張ってみるよ。どうしたら良いかな」「僕の傍に居てくれるだけで良いんです」「えっと…こういうこと?」
「おや、実際に近付いてくるなんて今日は大胆じゃないですか」
「うん、だって…って!?ちょっと、何処に手つっこんでるのよ!?」
「何処って服の中じゃないですか」
「で、何処触ってるの!?」
「胸って言い方が好みですか?それともおっぱ…」
「死ね!」
ぐふっ…!腕を上げましたね。しかしこの程度じゃ負けませんよ」「鳩尾にクリーンヒットされたのに効かないなんて!?」
「貴方は知らないんですよ、セックスして一つになれば、互いのことを一番分かり合えるということを」
「何言ってんのアンタは…!」
「貴方のことをちゃんと考えて、ちゃんとコンドームも用意したというのに」
「あーわーわーわー!!」
「3ダースもあれば充分ですよね」
(…泣きたくなってきた)



「恋人の部屋に来たら、こういう展開になることくらい分かりきってるでしょう?」
「少コミの読み過ぎです。一度死んでこい」
「ほら、両親は出張で居ませんし、姉さんや妹も今日は友達の家に行って帰ってきません」
「いや、アンタ家族居ないだろ。バーチャル家族か」
「違います、脳内家族です」
大差ねぇよ、やっぱり一回死んでその頭どうにかしてこい」
「…いいじゃないですか。両親…血の繋がった家族の居ない僕が少しくらい痛い発言をしたって」
「(あっ痛いっていうのは認めてるんだ)」
「天涯孤独というのはきっとこういうことを言うんですしょうね」
「(そっか…犬や千種に親が居ないように骸も…)」
「本当は僕も寂しかったんですよ。もっとも今は千種や犬…それに貴方が居ますから」
「ごめんね…少し言い過ぎたかもしれない」
「いや、良いんです。君の存在自体が僕の慰めになるのです」
「(ドッキーン!)(やばい、本日2回目のトキメキ…!)」
「だから…」
「…」
「…」
「何であそこで押し倒すかな?」
「何言ってるんですか、良い雰囲気で押し倒さず、いつ押し倒すと?」
「一生押し倒すな」
「つれない人ですね」
「知るか、馬鹿」
「無理矢理は無理矢理で楽しいんですけどね」
「(私のトキメキ返せ…)」
「でも好きな人とヤりたいと思うのは男として当然のことです」
「お前はヤることしか頭にないのか」
「違いますよ、貴方とヤることしか頭にないんです」
「…ヤル以外の言葉だったらキュンと来るのにな」
「なら貴方とセック…「そういう単語は論外」
「僕は貴方とセックスがしたいんです」
「言い切ったな…」
「優しくしますから」
「何、その期待に満ちた目は!?」
「君の初めてを僕に下さい。貴方の処女を僕に下さい」
「死ね、どっか行け」
「あっ…」
「何?」
「ちょっとトイレに行ってきます」
「勝手に行って来い」
「貴方とセックスすることを想像したら何だかたっちゃいました(えへ)」
「(…死にたくなってきた)」



(…そういえばベッドの下にはエロ本が隠してあるって言うけど本当のところはどうなんだろ。別に良いよね、ちょっとくらい。別にベッドの下を見ることくらいプライバシーの侵害でも何でもないよ。むしろ骸にプライバシーなんて存在しないんだよ)
がさごそ、がさごそ。

(何かある?やっぱり骸にも一般男子的な所もあったんだね。でもこれ何?エロ本じゃなくてアルバム?あぁ、そうかエロ本を隠す為のカモフラージュでアルバムのカバーを…骸にも可愛い所があったんだ。あぁちょっと意外かも。興味あるから見ても良いかな。なんていうか女の子だからエロ本なんか買えないし、こういう時でしか読む時間無さそう。よし、決めた。見よう)

オープン ジ アルバム☆

(あれ?私によく似てるなこの人…っていうかアルバムそのものじゃんこれ。これって写真じゃん。あれ?なんで?グラビア女優さんのブロマイド?生写真?でもグラドルの割に普通の写真だな。生活溢れる…待てよ、おい、これはまさか…!)

ガチャっ

「ふぅ、すっきりしました。小夜、一人で寂しかったでしょ?」
「骸…あんた、コレ…」
「コレ?…ぐふぅ!?なっ何見てるんですか!?」
「何で私の隠し撮り写真なんてものがあるのよ!?」
「僕が撮ったんじゃありません!」
「でもどうせアンタが…千種にでも頼んだんでしょ?」
「違います、犬です」
「大差ない…って犬か、何気に撮るの上手いな!」
「本当は千種に頼もうと思ったのですが、彼はどうも写真を撮るのが下手みたいで」
「…あぁ、そうですか」
「犬は小夜にバレてしまわないかで心配だったんですが、案外上手くいきました」
「あのね…何ペラペラと喋ってるの。喋ったらお終いだって分かってるの?」
「あっ…」
「(馬鹿だ…)とにかく、この写真は処分させていただきます」



「えっ何これ、懐かしい。ヤバいってちょっと」
「とある伝手で手に入れた写真です」
「なんかアレだけど、懐かしいからちょっと許す」
「ちなみにコレは小夜が小一の時、運動会の徒競走で一位になった時の写真です」
「こんなの私の家にも残ってないよ。どこから手に入れてきたの」
「それは企業秘密です」
「…何の企業だ。でもまぁ、こんなの私も忘れてたよ。そういえばこの時は嬉しかったな」
「でしょうね、この満面の笑みはそうとしか言えませんよ」
「うん…あっ並中入学式の写真だ」
「中一の貴方もまた可愛らしい」
「んで、授業風景…雲雀発見!そういや隣の席だったっけ。可愛いな、中一雲雀。性格は今とあんまり変わってないけど」
「今と変わらず生意気そうなガキです」
「そんな事ないって絶対に可愛いって。これ、貰っても良い?」
「駄目です。僕の幼少時代の写真なら幾らでもさしあげますが」
「あっそれは要らない」
「即答…!?」
「文化祭とか合宿があって…ここら辺はつい最近だね。まだ覚えてるよ」
「珈琲を飲みながら期末テストの勉強に励む貴方…かなりキマスね」
「どこから撮ったのか、何がクルのかもう突っ込まないことにしたよ」
「大丈夫です。これを撮ったのは僕ですから。安心して下さい。犬には部屋の中を見られてませんよ」
「余計に嫌だから」
「照れなくても良いですよ。女の子らしくてとても可愛い反応ですが」
「はいはい、次のぺージ…って、ちょっと!?」



「何これ!?何で私がお風呂に入ってる写真なの!?」
「あぁこれは…」
「変態!この変態め!」
「あぁ、もっとけなして下さい。なんだかゾクゾクします」
「…」
「でもこれを撮ったのは僕じゃなくてM・Mですから」
「M・M…!そういえばこの前、彼女といっしょにスパに行ったから、その時か。おかしいと思ったんだよ、あのM・Mが自分の奢りでスパに連れて行ってくれるなんて」
「あぁ、スパですか。だから水着写真もあったんですね」
「水着写真も!?M・Mめ…!」
「一枚につき一万円と言ったら喜んでやってくれましたよ。流石M・M」
「友達より金が大事か」
「おや、知らなかったんですか?」
「いや、まぁ…知ってたけどね」
「だけど大丈夫ですよ。もっとヤバイものはちゃんと違うところに保存してありますから」
「どこが大丈夫だ。保管なんてしないで良いんで早く捨てて下さい」
「別に捨てても良いのですが…」
「えっそんなにサラリと了承してくれるの?何があったの骸…!」
「そんなに驚く事ですか」
「だって…今までが今までだし」
「ただ、その代わりと言っては何ですが、実物を下さい」
「何でそうな…」
「もう我慢の限界なんです。僕は貴方が欲しい。貴方を僕の物にしたい」
「そんな事言われても私は…!」
「僕が貴方に拒まれて傷ついていないと思っているんですか?無理矢理でも犯ろうと思えば犯れるんです。しかし何故無理矢理しないか、分かりますか?」
「知らない…そんなの」
「貴方が大切だからです。貴方を愛してしまったからです。本当は傷付けたくなんかない。だけど滅茶苦茶にしてやりたい。こんな感情は初めて何です」
「骸…私…」
「小夜…僕はどうしたら良いんですか?」
(ごめんなさい、お父さん、お母さん…!。)



コンコン
「どうかしましたか、千種」
「もう七時ですが、小夜の時間の方は?」
「…あっヤバイ。そろそろ帰らないとマミーに殺される」
「そうですか…時間、ですか…」
「ごめんね、今日はもう帰るよ」
「今日はここに泊まる、とかは無理ですか?」
「骸様、無理を言っては小夜が困りますよ」
「それもそうですね」
「それじゃ私は…っ…!」
「…どうかしたの?」
「こっ腰が…」
「あぁ、さっきので腰が。これでは帰るのは無理ですね」
「何にこやかな顔でそんな事言ってるのよ…」
「柿ピー、タクシーの用意出来たびょん」
「あっタクシー呼んでくれたんだ、有難う」