再び

いつかアップしよう。
お電話シリーズもいつか絶対…!
骸は変態でも真面目でもいけるから楽だ(`・ω・´)



「こうなる事は予想してたから。ちなみに、これタクシー代」
「ちょっと千種!?何僕の財布から抜き出してるんですか!?」
「いや、元はと言えばアンタの所為だから。千種、有難く受け取っておくよ」
「タクシー、前に待たせてあるから。あっ前まで歩ける?歩けないなら俺が運ぶけどろーする?」
「おぶってくれると嬉しい…」
「了解」
「あっおぶるのなら僕が…!」
「嫌」
「じゃあ骸さんはここで待ってて下さいね」
「ならタクシーに一緒に乗って小夜を送ります」
「帰りのタクシー代が勿体ない」
「僕のお金じゃないですか…!」




「置いていかないでね。」
「えぇ。」
「独りにしないでね。」
「分かってます。」

私の頭を撫でる手。私を呼ぶその声。私を包み込む腕。でも全ては幻だ。彼は甘い言葉をくれるけれど私は何時だって独りだった。(ちなみに言うと独りと一人は違うというのが私の持論)血に塗れて、傷を作って、銃を片手に。目の前の彼は笑って私から手を離す。クフフ、という彼独特の笑いがやけに耳に残って仕方がない。どうせなら全て消え去ってしまえばいいのに。そんなどうしようもないことを考える自分がいる。

「嘘つき」
「えぇ」
「裏切り者」
「分かってます」

置いていかないでと言ったのに置いていく。独りにしないでと言ったのに独りにする。姿も幻なら言葉も幻。どこからが本物で、どこからが偽物かが分からない。(あぁ、もしかすると全てが幻かもしれないわ)(だって、今というこの時間に彼の存在は浮きすぎているもの)だから彼は霧の守護者なんてものになってしまったのだろう。正体が掴めない彼は他の何よりも霧の守護者というポジションが似合っている。だからこそ巻き込まれる。マフィアの抗争、マフィアの戦い、マフィアの憎しみに。あれほどマフィアを嫌っていたのは彼なのに、この現状をマフィアを殲滅させる為だとこじつけの理由で自分を誤魔化す。

「私のこと愛してる?」
「えぇ」
「私も骸のこと愛してる」
「分かってますよ」

終りのない押し問答。小夜は小さく溜め息をついた、長い黒髪が風にゆれる。嘘つきね、再度そう言ったが今度は肯定の言葉も否定の言葉も無かった。小夜にとって骸がボンゴレに入ったことは裏切り行為であった。どんな理由があったとしても、それは簡単に許せることではなかったのだ。ボンゴレへの仲間入りはまるで彼が自分に別れを告げているようだった。愛してるなんて言っても彼がボンゴレに入った時点で別れは決まっている。小夜は再び溜息をついた。こんな押し問答は不毛だと思った。

「ねぇ、」
「はい、何でしょう?」
「何でもない」
「分かってますよ」

だけど終わらせることが出来ない。また繰り返しだと心の中で溜め息をついた。終りが来ない。早く終ればいいのに。でもその反面終わらないで欲しいと願う。骸は言った、死なないで下さいと。小夜は答える、それは私の台詞だと。

「キミは僕の物です」
「えぇ」
「僕以外のヤツに殺されないで下さい」
「分かってる」
「他の誰かに殺されるくらいなら僕がキミを殺します」
「なら殺される前に自分で死ぬわ」

ふざけてそう言うと骸は笑う。いつも通りに声を上げて、だけどそれでいて苦笑交じりに。骸の真意だとかそんなものが小夜に分かる訳がない。だけど骸があまりにも悲しそうに笑うので(あれ?これって気のせい?)小夜はつられるようにして自分も笑った。

「でも本当は殺したくないんです。僕の手で守りたいんです」
「分かってる」
「だから生きて下さい。僕に殺されない為にも」

矛盾だ。その言葉は激しく矛盾している。彼が存在すらも矛盾した生き物に見えた。好きだから殺すのか、なら殺せばいい。愛してるから生かすのか、なら生かせばいい。答えは考えるまでもなく簡単だった。どの道私に選択肢なんてないのだから。骸の嘘に気付けない程私は馬鹿じゃない。骸の嘘に気付かない程私は優しくない。好きだから気づいてしまうのだ。気付きたくないものにまで気付いてしまう。

「ばいばい、もう一度会える日を願ってるわ」
「えぇ」
「でも、もう二度と会う事がないと嬉しいわ」
「分かってます」

繰り返された押し問答。答えは変わらず。それは歪んだ貴方の愛故にかしら?


ユガミズム






柿ピー柿ピー!大変なんらって、骸さんが大変なんらって。なんていうか物凄く変っていうか…!まぁ、あの人が変なのはいつもの事なんだけど、でも今回は変の度合が違うっつーか、変態さが増してるっていうか。あっこれ骸さんに言ったら怒るかんな。告げ口はダメれすからね。オフレコってやつなんだよ、分かる?えっオフレコの意味が違う。相変わらず細かい眼鏡れすね。そんな細かい事言うから眼鏡かけなくちゃならなくなるんれす。俺と骸さんみたいに人生てきとーに生きてれば眼鏡なんて必要ねーの。



なんていうか、恋は盲目って言うじゃん。そんな感じ。骸さん、あれは完璧恋する少女の目だった。なんていうか初恋って感じ?あの人女の人に慣れてるくせに恋愛経験皆無っぽい。色々と相談…っていうか、その女の話ばっかりされてマジ困ったびょん。しかもその女に俺も会ったんらけど…。



そいつから男の匂いがするんれすよ。これマジな話。ウルフチャンネルでちゃんと調べたから間違いないびょん。しかもどこかで嗅いだことのある匂いなんれすよね。思い出せないんだけど、れも絶対に知ってるやつ。…お前今わんこって思ったな。絶対に思った。狼なの、狼。つよーい、ウルフなんれすからね。犬とは格が違うんらってば。いや、同じイヌ科ってことくらい俺もしってまふから。柿ピー俺を馬鹿にし過ぎ。一緒にすんなよ。



えっ俺もその女に惚れたのかって?…んな訳ねーって。ありえねーあんな女趣味じゃないって。…本当に違うかんな!骸さんが惚れただけで俺は別になんとも思ってないびょん。あーもー!この話止め!柿ピーがウザメガネだからこれから先この話なし!もう知んねー!あの女の話なら骸さんから聞けよ。俺は何も言わねーからな。だから惚れてなんかいないんらって!



焦る城島犬

あぁ、もしもし犬ですか?僕ですよ、僕。犬なんでしたら僕の声くらいで僕が誰だか分かって下さい。えっ僕僕詐欺?なんですか、それ。新手のオレオレ詐欺みたいなものは。僕ですよ、六道骸です。えっ六道骸詐欺?いや、それは最早詐欺でもなんでもないじゃないですか。六道骸だなんて名乗っても何も騙し取れませんよ。脅せるくらいの事は出来るかもしれませんけど。



…そうそう、本題を忘れる所でした。全く犬の癖に話をややこしくするんじゃありませんよ。これから僕は貴方に重大なお話があるというのに。別に千種に話しても良いんですよ。そんなに僕と電話でお話したくないのならそれで良いんですよ。切りますからね。本当に切りますよ?良いんですか?今ここで切ったら犬になんか一生かけてあげませんからね。犬の代わりに僕には千種が居るから大丈夫なんです。千種は多忙な人でさっきも留守電に繋がりましたが、もう一度チャレンジすることにします。えっ無視されてる?殴るぞ、こら。



仕方ないですね、そんなに僕とお話したいんですか。犬は甘えん坊ですね。本題というのはあれなんです。実は落ちてしまったんです。…いや、別に助けに来なくても良いですからね。別に落とし穴に落ちた訳じゃないんで。えっ?なら一体何に落ちたのかって?よく聞いてくれました!僕は恋に落ちたんです。先ほど少々衝撃的な出会いをしましてね。まさかマンションの部屋を間違えると思いますか?友達の部屋だと思って僕の部屋に入ったらしいのですが…友達の部屋だからといって普通ベッドで勝手に寝ませんよね。彼女を初めて見た時、何かのビックリ番組かと思いましたよ。ビックリじゃなくてドッキリ?そんな細かいことを気にしてどうするんですか。ドッキリだろうがビックリすることに変わりありません。あぁ、もうまた話が脱線しましたよ。脱線するのは列車だけでじゅうぶ…いや列車も脱線しちゃ駄目なんですけど。安全運転は大切ですよ。



…どこまで話しましたっけ?僕は僕のファンが僕の部屋に押し掛けてきて「骸様、私を好きにしてください」的な感じなのかとちょっとドキドキしたって事は話しましたか?あっもう話した?じゃあ次に行きましょう。とりあえず、あまりに寝顔が可愛らしく、そして無防備だったので寝ている彼女を無茶苦茶にしてやろうかと本気で思いました。やはり男というのは自分のベッドで女性が寝ていたら襲いたくなる生き物…えっならない?何言ってるんですか、犬。馬鹿ですか?不感症ですか?貴方も同じシチュエーションを体験すれば分かります。やばいですよ。なんていうか彼女のボケっぷりとかもヤバいんですけど、僕の理性とか色々な物が本当にやばかったです。



この後六道骸は延々と城島犬にその日がいかに素晴らしいかを語り続けた



堕ちる六道骸