それさえも…

よしっ、気分がBRなので続きを書こう
(ただの勉強からの逃避)




カタカタカタ、と体が震える。
どうしよう。
怖い怖い怖い!!


ナップサックの中身は銃だった。
説明書なんて見ていない。
名称なんて今の私にはどうでも良かった。


これからどうなるのだろう。
名簿番号5番、ささめは考える。
自分で小説とか書いたりしたけど、その小説の中の自分にはなれそうにない。
むしろ状態としては凪良ちゃんの小説の中の自分が一番似ているのだろう。
(だからといって自殺する気はないが)
ただ、まだどこからも銃声はしていない。
それが自分を安心させる。


ほら、大丈夫じゃないか。
小説みたいにそう皆簡単に殺しあったりしない。
そういうものなんだ。
大丈夫、私達はまだやっていける。


だけど、なんで?
なんで体の震えが止まらないの?
皆のこと信じてる。
嘘じゃない。
だけど、やっぱり怖い。
手の中にある銃をぎゅっと握り締めた。
とりあえず自分を落ち着かせよう。
近くにある民家に足を運ぶ。


(定番やんな。民家の中に誰か居んのって。)


誰もいない事を確認し、ゆっくりと扉を開ける。
不自然な程に綺麗な部屋の中に足を踏み入れた。
土足なのが少し悪いかな、とか思うが。
だけど靴を脱いでしまったら、いざ逃げようという時に面倒だ。
なんて、暢気に考えながら椅子に腰掛けた。
ぶらぶらと足を動かして、ぼうっと天井をながめて。
でも銃は抱きかかえたままで。


(・・・何がしたいんだろう私)


よく分からない感情。
体の震えは収まるどころか増すばかりだし。
最悪だ。


―ガタガタガタ


体が震える。
説明を聞いた時からずっと続いている。
銃と一緒に自分も抱きしめた


―ガタガタガタ


一秒が一分に感じる。
一分が一時間に感じる。
ゆっくりになってしまった。
背筋を嫌な物が流れていく。
狂ったのかな、私?


―ギィッ


「ひぃ!?」


扉の開いた音。
誰だ?誰だ?誰だ!?
殺せるような人を探してる?
それとも私みたいに隠れようとしているだけ?


だけど嫌だ。
とてつもなく嫌だった。


「ささめ?」
「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!!?!!?!」


見知った声。
―パンッ
と聞きなれない音がする。
よく分からない振動が自分の体に伝わった。


何時の間にか私は椅子から落ちていて、床に座り込んでいた。
目の前が滲む。
世界がぐわんぐわんと音を立てて動き出した。


「あっ…あぁぁぁ…」
「なんでなん…ささめ…」
「違うの。私、私、」


目の前に居たはずの人は床に倒れていた。
赤い何かが水溜りのように広がっていく。
気持ち悪い。
何が分かったのか分からなかった。
そんな私にその人は笑いかける。


「急に…声かけた俺…が悪か…ってんな。」
「違う…悪いのは…悪いのは…」
「頑張っ…て生き残れ…よ。」


その言葉に世界が鮮明になった。
あぁ何故だろう。
何故私はこんなことをしてしまったのだろう。
手の中になった銃を落とした。


「今まで…有難うな。…楽しかった。」
「そんなこと言わないでよ…廃ぽ!!」


息も絶え絶えに彼は言う。
映画なら私は喋らないで!とかなんとか言ってる立場の女性なんだろう。
だけど動けなかった。
足に何かが伝わってくる。
生暖かい。
動かなくっちゃ。
スカートに血が染み込んだ。


「泣かんといてぇ…な。笑って…な?最後くらい笑顔見せて…?」


上手く笑えていたかは分からない。
だけど私必死で笑顔を浮かべた。
彼は私を慰めようと色々と言ってきてくれる。
喋るのも辛いはずだ。
ぽは優しいね。
そう私が言うと彼が笑った。


でもしばらくすると彼は何も話さなくなった。
あぁ死んだんだ。
これが死というものなんだ。
ぽの言った言葉は何だか、かっこ良過ぎて。
芝居がかってて、冗談のように思えたけど。
でも―


「ありがとう…」


彼を私が殺した。
これだけは確かな事実だった。



AM 1:30  名簿番号九番 廃ぽ 死亡
残り九名