リモコンの没ネタ。途中で夢にしか思えなくなってきた。
っていうか元々昔の時代物のネタがあったのにそれが全てBASARA夢ネタに変換されるんですけど!ちょっと!
(書いた後読み返すと元就夢に見えて仕方がない…違うよ、文芸用に書いた文だよ!!)



痛い、何もかも全てが痛い。痛みしか感じない。あぁ神様、罪深い私をお許しください。私が望んでいたことは間違いだったのでしょうか。目の前であの人が泣いています。あの人が傷つかないように、と頑張ったのに。私のこの行為はあの人を傷つけてしまったのでしょうか。いいえ、そんなことはありません。あの人なら私などここで捨て置いてしまうはずです。だけどあの人は何故泣いているのでしょう。私にはそれが分かりません。


「そんな顔をしないで下さいませ…初音は悲しゅうございます。」


私のこの声があの方に届くのでしょうか。届いてもあの人は聞き入れてくださるのでしょうか。伸ばせば届くのに伸ばす腕がもうない。切られた右腕はどこかへ行ってしまった。目は霞む。意識が遠のく。だけど私はこれで満足なのです。あの人をお守りすることが出来た。それだけで私は満足なのです。いくら敵に切り刻まれようとも構わない。あの人を守ることだけが私の望みであり、その結果こそが幸せ。


「初音…」
「私は駒の一つ。貴方様にお使えすることが初音の幸せ。」


だけら私の死ごときで泣かないで下さい。貴方の泣き顔はきっと綺麗なんでしょうけど初音には貴方の顔を見る力も残っていません。神様、これは貴方から私への最後の意地悪なのでしょうか、それともご褒美なのでしょうか。初めて名前を呼んでもらえました。こんな時にそれが嬉しいと思える私は罪深い人間なのでしょうか。名前を呼んでもらえるなら死んでも悪くないと思ってしまいました。


「早く逃げて下さいませ。もうすぐ敵の増援部隊がここに。」
「そなたを置いて何故逃げられるか。」
「捨て置きください。私という駒を失っただけです。悲しむことなど有りません。」


それになんてことでしょう。あの人が私を抱き締めてくださっている。あぁ無礼がないよう、ちゃんと抱き返さなければ。だけど抱き返す腕が今の私にはありません。右腕の居場所は分かないけれど左腕はきっとそこらへんに転がっている。だって私が自分で切り落としたのだから。後悔はしていません。貴方を抱きしめ返すことは出来なくても貴方を守ることができました。これが初音の幸せ。あぁ、でも何故涙が出るのでしょう。やはり私は罪深い人間です。あの人を愛してしまいました。



つきにまけいぬ
(本当は生きて貴方のお側に居たかった)