身内小説

設定考えるだけは無駄に好き。
ってかあるシーンを書きたいが為に書いたともいえる



15:45


バトルが終わるまでもう15分しかない。自分達アドバンスは運命を変える為に戦う…はずだったが今回はどうもやる気というやる気が出ない。さうは手の中にある戦車のカードを見て小さく溜息をついた。今回の使用カードは各自一枚。しかしそれはバトルに参加する面子のみの制約だ。バトルの対象である華南は敵陣であるガーディアン、多分自力でカードをゲットしようとするだろう。実質三対三ではなく三対四のバトル。勝てる訳がないとそう勝手に結論付け、そして今に至る。


「まぁ華南がゲーセンに来た時の保険という事でwww」


今出川通りにある某志社生行き付けのゲーセンへと足を運ぶ。ささめとOVAが何とかしてくれる、と気楽に思いながらゆっくりと扉を開けた。店内には音ゲーの音がグチャグチャに混ざり合って、それが一種のBGMとなっている。久しぶりにドラマニでもしようか。いつもなら階段を上がって真っ先に二回のガンダムのエリアに行くところだが、今回はそのまま奥へと進んでいった。


「あっさう君、今日部活は?」


思わずフリーズ。言い訳が本当になった。どうする俺!!!思わずライフカードのCMを思い出す。手の中には戦車のカードしかないが状況としてみれば「攻撃」「普通に接する」「とりあえずゲーム」と微妙過ぎる選択肢ばかりが浮かんでくる。目の前でにこやかに笑顔を浮かべる華南に対してとりあえず「サボリました」と正直に答えた。


「前もサボって学校来てたよね、部活ちゃんと出ないと駄目じゃない?」
「まぁ、今回は特別って事で。」
「私も人のこと言えた義理でもないから良いけどさ。」


とりあえず手の中の戦車のカードには気付かれていないようだ。下手にポケットの中に突っ込むと逆に動作で怪しまれる可能性がある。なるべく気付かれないよう手を背中の方へと回した。どうやら華南はポップンをやっていたようで、今丁度終わったようだ。ポップンの画面にはコンティニューの文字が映し出されていて、カウントがゼロになるとカードを抜き出すつもりなのか、小走りにポップンの台の前に戻って行った。しかしどこか様子がおかしい。出てきたカードを見て首をしきりに傾げている。


「あっ…あれ?なんでポップンのカードが…ってタロットカードかよ、明らかにサイズ違うし、どうやって入ってたんだよ!!」
「うーあー…」
「しかも白紙のままって事は所有者がまだって事だから。やった貰い。」


タロットカードは最初白紙のままである。そしてカードがどういう仕組みかしらないが覚醒することによって所有者に力を与える。覚醒するまではただの白紙の紙に過ぎず、また適応する者以外が持っても覚醒することはない。しかしどう見ても華南の持っているカードは女帝だ。つまり女帝のカードはこれから15分後に目覚める訳であり、それを阻止してしまえば良いだけの話だ。


「なんのカードだろ、あっもしや女帝だったりして」
「ぎくっ…!!」
「…心情は口に出さなくて良いと思うよ。」
「えっあっ、すみません。」


覚醒を阻止する一番の方法。カードに手を触れさせなければ良い。そうすればカードは目覚めない。手の中の戦車のカードを空中へと放り投げた。カードが明るく光だす。周りに居た客がいきなりの光に「なんだ?」「どうしたんだ?」とと慌てたような声を出す。こんな狭い店内でこのカードの能力は使いこなせるかどうか、少しだけ自信がなかった。もう一枚のカードにすればと後悔したが今はそんなことを思っても居られない。眩い光は何時の間にかさうの足元を包み込んでいた。