勉強の合間に

部屋中に張り巡らされた鋭利なワイヤーにそっと指先を当てた。僅かな痛みと共に指先からは血が流れ出た。人でなし、冷血人間と何度となく言われた私だが血の色は赤というのは他の人間と変わりはないらしい。探せば私よりも人でなしで冷血な人なんていっぱい居るはずだ。一応これでも昔は躊躇もしたりしたんだ。今は慣れ切ってしまったこの行為も昔はとてもおぞましかった。こんな私は確かに人殺しだけどサドではない。これは仕事なのだ。そう割り切ることにした。仕事を頑張って何が悪い。あぁ、日々を呑気に過ごしているバカな奴らは知らないのだ。自分達の社会がどうやって成り立っているのかを。バカだ。本当にバカだ。私達みたいな存在が居るから表の社会は平穏に成り立っているのだ。むしろこいつ達は私達に感謝をしなくてはいけない。私の前に膝まづいて頭を床に押し付けてその頭をヒールの付いた靴でぐりぐりと踏んでやろう。許してほしければ床を舐めて私の靴の裏を舐めて懇願すれば良い。(あれ?何時の間にか謝る話になってる?)


「ねぇ、終わったでしょ?早く帰ろうよ。長居しても意味ないじゃん」


ワイヤーを張り巡らせた張本人からの返事はない。