リボーントリップ(ボツネタ)

「キミ、誰?」

目の前の彼は見たこともない人だった。


春うらら


私の学校に果たしてこんな場所あったのだろうか。
確かに一部の部屋には入ったことはない。
しかし第三会議室くらい部会で何度も使っているからどんな部屋か覚えている。
私は第三会議室のドアを開けたはずだ。
違う部屋のドアを間違えて開けたにしろ雰囲気が違い過ぎる。


「それで、質問の答えは?」

「…麻生美琴と言います。」

「ふーん聞いたことない名前だね。」


こんな高圧的な人見たことない。
彼は私をじっと見た。
そんな風に見ないでほしい。
見られる側の気持ちを考えろ。
社長椅子にどかっと座り込んだ彼。
やっぱりこんな人見たことない。
少なくとも机の上に足を乗せたりする人を私は知らない。


「この学校の生徒じゃないみたいだけど…迷子かなんか?」

「何言ってるのよ、私は紛れもなくこの学校生徒です。」


大体何が悲しくって自分の学校で迷子にならないといけないのだ。
これでもある程度は方向感覚には自信がある。
少しの間考えて辿りついた考え。


「もしかして…不法侵入者!?」

「何言ってるの。不法侵入はキミだろ。」

「だから私はこの学校の生徒!!」


そう主張すると返ってきたのは溜息。
うわぁムカツクなこの人。
しばいてやろうか、と拳を握り締める。


「じゃあ何で制服じゃないのさ。」

「はぁ!?何言ってるのよ。ここは私服校!!」

「キミって頭おかしい?ここから下を見てよ。」


そう言われて窓から下を見下ろした。
…ここはどこだ?
私のいる学校ではない。
さすがに校庭を見間違えるはずはないだろう。
はっとして彼をじっと見た。
今更ながらに気付く。


「そういえば…あんたも制服。」

「そういうこと。キミが不法侵入者って訳。」

「でも…何が悲しくってこんなところに不法侵入しないといけないのよ!!それによく見れば…アンタもそんなこと言いながら学ランじゃん!?」

「それが何か?」

「何かって…何で一人学ランなのよ。」

「別に僕が何着ようが勝手だろ。」


制服はそう人様の都合で着る物じゃない!!
言い返してやりたかったが跳ね飛ばされるのは目に見えている。
待てよ…?
再度窓から下を眺めた。
見たことないか、この制服?
それにここにいる彼だって。


「…ねぇ貴方の名前は?」

雲雀恭弥だけど。それがどうかした?」


やっぱり、聞いたことある。
なんだっただろうか。
ずっと前に友達に一巻を借りて…それから…。
何とか記憶の糸を手繰り寄せた。
まさか、とか思いつつ聞かずにはいられなかった。

「もしかして風紀委員?」

「うん。」

「それで委員長?」

「うん。」


その一言に自分の顔が引きつるのが分かる。
私の友達ならばすぐさま彼に飛びつくだろう。
私は生憎そこまでミーハ―じゃない。


「ここはもしかして…並中?」




連載のボツネタ。
ナコ嬢の為に打ち上げる。
並中だっけ?あの中学。